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ビートルズを知らない若者とビートルズのカバーが好きな僕の話


OFF THE BEATLE TRACK - George Martin and His ...

 

音楽専門学校生のビートルズの認知率が1割で、人気なのはニコニコ放送の「生主」やアニソンの歌手だったというニュースがネットで話題になったが、こういうニュースはたいてい「大人」と「若者」の罵り合いになり、「分かり合えないことだけを分かり合えるのさ」(全ての言葉はさよなら/フリッパーズ・ギター)という結果になりがちである。

 

僕は年齢的には「大人」の世代なので、もちろんビートルズは知っている(ちなみに甥っ子の影響で「生主」もアニソン歌手も少しは聴いたことがある)。初めてビートルズを知ったのは、YMOが「デイトリッパー」(「ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー」収録)をカバーしていたのがきっかけ。というか当時、僕はカバーだと知らず聴いていたのだが、母が「これ、ビートルズデイトリッパーのカバーよ」と教えてくれたからである。母にビートルズ聴かせてと頼むと、いわゆる「赤盤」(ベスト盤「ビートルズ1962年~1966年」の通称)を出してきてくれた。見事にはまり、毎日「赤盤」と「青盤」(ベスト盤「ビートルズ1967年~70年」の通称)ばかり聴いていた。結果、このベスト盤の曲順が刷り込まれてしまい、後にオリジナルアルバムを聴くと、「この曲の次はベスト盤のあの曲のほうがしっくりくる」という変な聴き方をするようになってしまった。

 

こういう出会い方をしたせいか、ビートルズはオリジナルはもちろん好きだが、カバーは大好物で、特に異ジャンルのものに魅かれる。以前の日記でも紹介したケニー・ランキンは「ペニー・レイン」(アルバム「Silver Morning」収録)をカバーしているが、ボサノヴァのリズムに乗せてスキャットを口ずさみ、サビだけ歌詞を歌うという軽快なアレンジで、晴れた日にはぴったり。ボサノヴァつながりでブラジルのアーテストだとカエターノ・ヴェローゾがアルバム「Qualquer Coisa」で「エリーナ・リグビー」「フォー・ノー・ワン」「レディ・マドンナ」をカバーしていて、どの曲もしっとりとしていて美しい。ジャズだと、ゲイリー・マクファーランドのアルバム「Soft Samba」は「シー・ラヴズ・ユー」「ハード・デイズ・ナイト」「アンド・アイ・ラヴ・ハー」「抱きしめたい」をカバー、アルバムタイトル通り、ソフトなアレンジに乗せた彼のヴィヴラフォンとスキャットを楽しめる。DJユースな打ってる感じなら、ソウル・シンガーのアーサー・コンリーが「オブラディ・オブラダ」をスカのアレンジでカバーしていて、かっこいい。

 

なかでも、一番愛聴しているのは、冒頭のYoutubeに掲載した、5人目のビートルズとも言われるプロデューサーのジョージ・マーティンによる「Off The Beatle Track」(再発熱望)。クラシックを学んでいただけあって、素晴らしいオーケストラ・アレンジで、なおかつポップに仕上がっていて、よくあるイージーリスニング・カバーとは当然出来が違う。「キャント・バイ・ミー・ラブ」のピアノ、ホーン、ストリングスが交互に奏でられるアレンジなんて、まるで刑事映画のサウンドトラックに使われそうなスリリングなアレンジ。しかもジャケットがかっこいい。

 

冒頭の話に戻ると、ビートルズは結成からもう半世紀も経つなのだから、今の若者が知らないのも当然のことのような気はする。テレビで嵐の松潤ビートルズが好きで、水卜アナとイントロ当てクイズをやっていたのを見たことがあるが(結果は水卜アナの勝利)、二人とも親がビートルズを聴いていて好きになったといっていた記憶がある。僕がビートルズを聴くようになったのも母のおかげで、僕が音楽バカになるきっかけをあたえたようなものである。なので、母さん、実家に置いてあるレコードは息子の宝物なので、勝手に捨てないで(願)。