90年代。僕は20代で、編集者として働きながら趣味でDJをやっていて、渋谷にはCDショップやレコード屋がいっぱいあって、バカみたいにたくさんCDを買っていた。そんな時代から邦楽だけとはいえ、ベスト20を選ぶのはなかなか難しいが、Twitterで相互フォローしている方にリクエストされたので…と、ベスト○○を書く時、人はなぜ言い訳がましくなるのだろう。
●カメラ・トーク/フリッパーズ・ギター
時代、ジャンルを超えた普遍的なポップス・アルバムだと今でも思う。
ピチカートで一番好きな「陽の当たる大通り」が収録されているので。
●結晶/オリジナル・ラヴ
90年代のアシッド・ジャズ・ブームとリンクした名作。
●球体の奏でる音楽/小沢健二
「犬」も「人生」もいいけど、一番今の気分に合うアルバム。
●ALIVE/LOVE TAMBOURINES
フリー・ソウルを体現した唯一無二のバンド。
●ユニバーサル・インベーダー/THE NEWEST MODEL
マンチェスター・サウンドの粗暴な部分を一番うまく取り入れたのは、彼らだと思う。
●Jr. /TOKYO No. 1 SOUL SET
ポエトリー・リーディング+生楽器・ヴォーカル+ターンテーブルのスタイルは、今でも誰も真似できてない。
●5th wheel 2 the coach/スチャダラパー
キック&スネアの音がこれだけ気持ちいいヒップホップのアルバムには、今でも出会えていない。
●Future Listening !/テイ・トウワ
90年代クラブ・ミュージックのいいどこ取りのセンスの塊みたいなアルバム。
●Child's View/竹村延和
ブラジルのミナス地方の宗教的な美音とクラブ・ミュージックを融合させた傑作。こういうアルバムは一枚しか出してくれなかったのが残念。
●HIROSHI FUJIWARA in DUB CONFERENCE/藤原ヒロシ
「NATURAL BORN DUB」は、自分の葬式にかけてほしいと今でも思っている。
●Doopee Time/DOOPEES
ヤン冨田さんの遊び心溢れるキュートな電子音楽。昨年発表されたヤン冨田さんプロデュースの星野みちるの「窓から」のカバーも良かった。
●東京/サニーデイ・サービス
90年代1Kフォークの名盤。
●空中キャンプ/フィッシュマンズ
リリース当時、このアルバムとMASSIVE ATTACKの「Protection」ばっかり聴いていた。
●AMETORA/UA
多彩なアレンジと豊潤なヴォーカルで今でも聴いてて飽きない。
●JUNIOR SWEET/Chara
私生活の幸福感がうまく音楽に昇華した名作。
●EXTREME BEAUTY/吉田美奈子
70年代の作品の再評価ばかりが目立つが、90年代の吉田美奈子の多重録音はもっと評価すべきだと思う。
●SUPER FOLK SONG/矢野顕子
「矢野が歌えば矢野の歌」の名カバー・アルバム。
●bambinater/KOIZUMIX PRODUCTION
小泉今日子の豪華プロデュース陣による企画アルバム。いい意味でのあざとさがキョンキョンの良さ。同じ手法の89年発表の「KOIZUMI IN THE HOUSE」も好き。
●En Prive~東京の休日/クレモンティーヌ
クレモンティーヌはフランス人だが、「クロード・チアリのように日本で活動するフランス人歌手」(©高木壮太)なので。「渋谷系ってどういう音?」と訊かれたら、このアルバムを薦めればいいほど、豪華なプロデュース陣。
以上、私的・90年代邦楽ベスト・アルバム20でした。最後に、この20枚以外にも愛聴しているアルバムに驚きと感謝を込めて。