2016年が終わる。テン年代以降、レコード・CDをあまり買わなくなり、中古CD査定業をしているくせに今の音楽シーンをまったく知らない。スマホにAWAを入れているが作るプレイリストはさんざん聴いたものばかりだ(Apple MusicでもSpotifyでもないところがまた微妙)。そんな状態なのに年間ベストをやる意味があるかと思うが、年々衰える記憶力を鍛練する必要もあるので、ベストアルバムではなく、私的音楽トピックを。
●METAFIVE のアルバム&ライヴ
今年一番のお気に入り。自分が好きな中期YMOのような硬質的でありながらポップなサウンド&打ち込みを多用しながら肉体的なビートで、アルバムもライヴも素晴らしかった。12月のツアーで活動は一段落のようだが、また「再生」してほしい。
●小沢健二の魔法的新曲7曲
自分でも意外だが初めて見た小沢健二のライヴは、バンドサウンドを追及した横ノリのディスコファンクで、歌詞だけでなく音楽に対するひた向きな姿勢にかなり心打たれた。レコーディングはやらないだろうと思っていたが、いつか発表されるかもしれないアルバムをのんびり待つことにする。
●星野みちるのマイペースぶり
妻には「いい歳してアイドルなんて聴かないで」と言われるのだが、そもそも星野みちるを年齢的にアイドルと呼ぶのは無理がある(失礼)。何しろ今年発表したカバーアルバム「My Favourite Songs」で森高千里の「私がオバさんになっても」を選び、吉田豪にいじってくださいと言わんばかりなのだから。一方でシングル「素敵にX'mas Night」では作曲を手掛け、はせはじむが作詞し、よくあるアイドルとプロデューサーの関係が逆転していのが面白い。天然なのか天才なのか、とらえどころがなく、マイペース過ぎるところが彼女の魅力。
●パイドパイパーハウスの復活
パイドパイパーハウス世代ではないが、本を通じて妄想することしかできなかったレコ屋が21世紀ver. で復活したのは嬉しかった。コンピレーション・アルバム「Best Of Pied Piper Days」も良かった。来年も継続が決定し、喜ばしい。
●ワーハピ2016
矢野顕子、スチャダラパー、ポカスカジャン、ムーンライダーズ、電気グルーヴ、METAFIVE、好きなアーティストばかりで楽しすぎた。33年ぶりにライブで聴いた「君に胸キュン」に感動したテクノおっさん(by大森靖子)であった。
●高木荘太の荒唐無稽音楽辞典
今年一番笑った本。重箱の隅をつつくような下らなくも的確過ぎる文章が最高。「フリッパーズ・ギター→暴走族の敵」を読んで、自分も暴走族とは仲良くなれそうにないと頷いてしまった。もちろん本業(?)の井の頭レンジャーズとCAT BOYSのCDも最高だった。
●「男と女」のデジタル・リマスター上映
ビデオやDVDでしか見たことのなかった「男と女」を映画館で見られる日が来るとは思わなかった。館内を満たすピエール・バルーのサンバ・サラヴァの静かな響きはやはり素晴らしかった。もちろんダバダバの主題歌も。
※追記 2016年12月28日、ピエール・バルーがこの世を去った。哀しい。合掌。
●ロジャー・ニコルス・トレジャリー
企画から22年かかったという21世紀最大の発掘音源。ロジャー・ニコルスがいなかったら、ピチカート・ファイヴのカップルズは生まれなかったかもしれないし、僕も音楽オタにならなかったかもしれない。
●星になったスターたち
今年はあまりにも多くのロックスターたちが天国に旅立った。特に昨年西寺郷太さんの「プリンス論」を読み、久々に自分の中で再燃していたプリンスが急逝したのはショックだった。さらに追い討ちをかけるようにこのブログを書いている最中にジョージ・マイケルの訃報を知り、しばらく茫然としてしまった。デッド・オア・アライヴのピート・バーンズも亡くなったし、自分の記憶の中でキラキラしていた80年代洋楽の思い出が急に霞んでしまうようで感傷的な気持ちになった。神様は天国でのフェスをたいそう楽しんだに違いない。
●会社の忘年会でのDJ
DJ をやったのは4年ぶりだろうか。
・Short Short(タモリ倶楽部使用曲)/ Royal Teens
・Saturday In The Park / Brady Bunch
・Never Did I Stop Loving You / Alice Clark
・Good Morning To You / Lexia
・Can't Take My Eyes Off You / 坂井泉(Zard)+小西康陽
と短いセットリストだったが、結構ウケて、久々に楽しかった。
以上、2016年の私的音楽トピックでした。来年もよろしくお願いいたします。