2年目の夏をあきらめて

波音が響けば雨雲が近づく
二人で思い切り遊ぶはずの

On the Beach
きっと誰かが恋に破れ

噂のタネに邪魔する
君の身体も濡れたまま

乾く間もなくて
胸元が揺れたら

しずくが砂に舞い
言葉も無いままに

あきらめの夏

 

夏をあきらめて

サザンオールスターズ研ナオコ

 

昨年に引き続き緊急事態宣言の夏。夫婦ともに小売業の我が家は「夫は隣県の倉庫へ中古CDの査定に  妻は家でテレワークをしていました」の毎日であることに変わりはなく、ワクチン接種は夫婦で2回終わらせることはできたものの例年通りまとまった休みもなかったため、昨年以上に何もせずに終わった2年目の「あきらめの夏」だった。

 

近所以外で夫婦そろって出かけたのは、Mork阿佐ヶ谷に「真夏の夜のジャズ」を観に行ったぐらいだった。私は20代の頃にレイトショーで観て気に入りVHSビデオを買って繰り返し観た思い出の映画だったので、「タイトル通り避暑地で開かれるジャズ・フェスティバルで、どこにも行けない夏の一夜にはぴったりだよ」と誘ったが、妻は「ジャズって敷居が高くて難しそう」と観る前は懐疑的だった。観た後は妻も「アニータ・オデイのサマードレス素敵だった」「サッチモ見てタモリってああいう風になりたかったんだなと思った」と彼女なりに楽しんだようだった。

 

ただ映画が終わった後に少し揉めた。「久しぶりのお出かけだしジャズの映画観たあとなんだから美味しいもの食べて帰ろうよ」と妻は言うが、私は「普段来ない場所だし今はまだやめた方がいい」といつものように説得し、結局テリー伊藤の「から揚げの天才」でテイクアウトすることにした。会計を済ませる間、妻は恨めしそうに中華料理屋を眺めていた。近所の馴染みの餃子屋が閉店したばかりだったのを思い出し私もやるせない気分になった。

 

コロナ禍以降、「分断」という言葉が盛んに使われるようになったが、我が家も以前より些細なことで言い合いすることが増えた。何事も中庸が大事であると考える自分にとっては、常に「お前はどっちだ」と問い詰められてるようで世知辛い世の中になったと感じる。

 

おそらく今年いっぱい何かと些細なことで言い合いするのは避けられないだろうが、せめて9月はおだやかにすごしたい。9月は我が家のお互いの誕生日と結婚記念日がある盆と正月が一緒に来たようなおめでたい月なのだから。

 

なのでとりあえずは、

 

このまま君と あきらめの夏