ラジオ風スナックみっこだヨ!全員集合


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4月12日(金)、みっこさん主催の「go! go! スナック風みっこだヨ!全員集合」にお誘い頂き、Bar DOCTOR HEADでDJしてきました。

 

みっこさんは、私が3年前に作ったファンジン『FOREVER DOCTOR'S HEAD WORLD TOWER』の「Doctor Head Tour回想座談会」に参加してもらい、今回のイベントはその縁もあってお誘い頂いたのですが、選曲テーマが「無人島に持っていく曲」で、しかもその理由についてイベントMCのみっこさんにインタビューされるという面白い趣向の企画でした。

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無人島レコード」をテーマにした本があるぐらいですから音楽好きなら一度は考えたことがあるでしょう。単純に大好きで何度も聴いたレコードか、青春時代の思い出のレコードか、思い入れのある超レアなレコードか、はたまたインタビューされるのだから自分はこういうレコードを選ぶ人間だと思われたいという自己演出なのか…。

 

そもそもなぜ無人島に行くことになったのかです。遭難して無人島に漂着したり、世を儚んで無人島に行くのなら音楽を聴こうなんて気持ちも起きないだろうし…いろいろ考えあぐねた結果、「某かの調査を命じられ無人島に行くことになったが成果があるまでは帰れないので、一人寂しく調査をしながら鼻歌で歌う曲ー鼻歌で歌えるぐらい何度も聴き友人や家族との思い出に浸れ一人であることを忘れられる曲」ということにしました。

 

●Like A Seed / Kenny Rankin

アメリカのシンガーソングライターの3rdアルバムのタイトル曲。イントロのアコギの爪弾きと子供のコーラスが印象的で、フリーソウル華やかし90年代に私が主催していたイベント「vibe chant」のオープニングで必ずかけていた曲でした。一緒に回していたDJのメンバーもフロアーのお客さんも大好きだった思い出の曲です。

 

●Samba Saravah / Pierre Barouh

映画「男と女」のサントラから。「男と女」というとダバダバコーラスの主題歌が有名ですが、映画の劇中でピエール・バルーが歌うサンバを選びました。「男と女」はたいして映画を見ない私の父が、当時ヌーヴェルヴァーグ好きだった母をデートに誘う口実に選んだ映画でした。父は私が生まれた翌年に他界し母もあまり父のことは語りたがらなかったのですが、私がまだ実家にいた頃に部屋でこのレコードをかけていたら母が「懐かしい」と父との映画デートの思い出を教えてくれました。時を経て私が妻と結婚し2016年に「男と女」が再上映され、今度は私が妻を誘いました。なので私が知っている数少ない父の思い出の曲であり、妻とのデートの思い出の曲でもあります。残念ながら妻は主演のアヌーク・エーメが着ていたたコートとジャン=ルイ・トランティニャンがガソリンスタンドで煙草に火を付け怒られるシーンしか覚えてないらしいですが。

 

●陽の当たる大通り / 小西康陽

ピチカート・ファイヴの曲で小西康陽のセルフカヴァー。Bar DOCTOR HEADでDJをやる時は必ずかけるぐらい今いちばん好きなレコードで、小西康陽のライブ会場でしか販売されずピチカートマニアにとってちょっとレアなレコードです。何よりピチカートファイブの元曲は私の大切な友人の一人、大塚幸代ちゃんが大好きな曲した。ピチカートファイヴではなくフリッパーズギターの話になりますが、彼女は『ヘッド博士』が発売された頃にフリッパーズギターのファンジン『FAKE』を作り、私はヘッド博士の元ネタ原稿を書きました。ファンジン『FOREVER DOCTOR HEAD'S WORLD TOWER』はもちろん「ヘッド博士の世界塔」の発売30周年として作りましたが、個人的には友人の大塚幸代ちゃんの七回忌に捧げる気持ちもありました。しばらくDJをやめていた私が再びイベントに誘われ回すようになったのはファンジンのおかげであり、彼女への感謝の気持ちも込め選曲しました。

 

●Seperation / Nicaud

無人島にいると一人で寂しいし夜は悶々とするのでジャケットも大切かなと、最後はエロジャケから一曲選びました。白状すると私はまあまあのエロジャケコレクターで、結婚した時に処分したつもりでしたがこの一枚は残していました。エロジャケは大抵中身はどうということもないイージーリスニングであることが多いのですが、この曲が収録されている『EROTICO...NICAUD』はDJで使えるネタありまくりのフレンチレアグルーヴの名盤で、DJでもかなり多用した思い出の一枚という言い訳をしておきます。

 

職場が遠方のため、他の方のDJがあまり聴けなかったのが残念でしたが、Venus Peter/Penny Arcadeの石田真人さんにファンジンをお渡しすることができ、当時の思い出話をさせて頂くことができたのは貴重でした。DJも自分の意思とは関係なく無人島に流れ着いてしまったという設定で、まず娘さんに自宅のレコードから10枚自由に選らんでもらい、さらにフロアのお客さんに1~10の数字のトランプを引いてもらい番号の付せんを貼ったレコードをかけるという自分で選曲しないDJは、ヤン富田の「偶然の必然」という名言を思い出す斬新なDJスタイルで驚かされました。

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mexicoさんがかけた一曲目がモーターヘッドだったのも無人島でも元気一杯!なキャラ通りの選曲で楽しかったです。

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イベントの〆の曲がこれだったのもみっこさんらしいと思いました。

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主催のみっこさん、DJの皆さん、来場頂いたお客様の皆さん、Bar DOCTOR HEADのやなぎはらさん、ありがとうございました。また、お逢いしましょう。

 

 

 

 

 

#休日飲酒クラブ EPIC SONY 楽曲を四谷で歌う




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3月31日(日)、あーるさん主催の「休日飲酒クラブ EPIC SONY 楽曲を四谷で歌う」にお誘い頂き、Bar DOCTOR HEADで夫婦参加でDJしてきました。

 

これまであーるさんにお誘い頂いていたイベントのテーマは「渋谷系」だったのですが、あーるさん主催のイベント「Bar薫る」で岡村靖幸の「だいすき」がかかった時に夫婦で盛り上がっていたら「岡村ちゃん好きなんですか?!」と訊かれ、「好きも何もリアルタイム世代でめちゃめちゃ聴いたよ」と言ったのがきっかけで今回のイベントに夫婦で参加することになりました。ちなみに妻はTM Networkのファンクラブ「TIME MACHINE」に入会していたほどのガチ勢の「FANKS」でしたが、DJをやるのは大学時代の学祭以来の30年ぶりでした。


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(休日飲酒クラブのイベントに相応しくEPICソニーのアーティスト名にちなんだオリジナル・カクテル!)

 

【選曲リスト】

My Revolution/渡辺美里

Special Woman/The Street Sliders

時代を変える旅に出よう!/ボ・ガンボス

GO GO HEAVEN/大沢誉志幸

ジェシオ'S BAR/大江千里

だいすき/岡村靖幸

ーB to Bー

瞳水晶/遊佐未森

 

EPICソニー楽曲のなかでもソウル/ファンクな横ノリで今聴いても普遍性があるものを選んだつもりでしたが、我ながらかなりベタな王道の選曲になりました。実はEPICソニーの楽曲を聴いていたのは高校時代だけで、あの頃はお小遣いで買えるシングルやアルバムに限りがあったのでレンタルに頼り、その代わりに貯めたお小遣いでライブに行くのが楽しみでした。


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(高校生の当時観に行ったライブのチケット。チケット代がいちばん高かったTM Networkでも東京ドームで4500円、遊佐未森はパルコ劇場で3000円。昭和の時代のチケット代は高校生のお小遣いでも観に行ける値段でした)

 

また、私は大学生になった1989年にフリッパーズギターが「海に行くつもりじゃなかった」でデビューし、ストーンローゼズが「石と薔薇」をリリースしたのをきっかけに渋谷系とUKマンチェにはまり、一方、妻は1991年のプロディジーの1stでテクノにはまったため、EPICソニーのアーティストを聴かなくなり、後に深掘りすることもありませんでした。

 

そのため、今回のイベントで他のDJの皆さんの選曲を聴いてて妻と「いたよね、このアーティスト!」と懐かしくなったり、「これもEPICソニーだったんだ、知らなかった」と気付きがあったりで、楽しむことができました。特にnaoco.さんの「あぶない刑事」のサントラやxeviさんの土屋昌巳の「東京バレエ」などの選曲の幅広さには驚かされました。


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とはいえ、女性のお客さん着ていたTシャツこそEPICソニーであり、DJよりもイベントの趣旨を理解していた方だなと嬉しくなったのも正直な気持ちです。


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主催のあーるさん、DJの皆さん、来場頂いたお客様の皆さん、FOODのmanico maniaさん、Bar DOCTOR HEADのやなぎはらさん、ありがとうございました。また、お逢いしましょう。


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Happy Like A Yesterday And Tomorrow 2/3 Bar DoctorHead


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先週に続き、Bar DoctorHeadのイベント「2月、節分・バレンタインとドクターヘッド」でDJしてきました。実質的にはBar DoctorHeadの2周年をお祝いするイベントで主宰者のあーるさんからは「Happy!でHot!な曲を」というお題を頂いたので、いつもの五十路のヨコのりではなく、20代だった90年代の頃に戻った気持ちで老体にムチ打ち「渋谷系+ネオアコ+昭和歌謡ソフトロック」のアゲめの選曲にしました。

 

Yeah!/International Resque

It's A Beautiful Day/ピチカート・ファイヴ

Jumpin' Jack Jive/オリジナル・ラヴ

Sending To Your Heart/フリッパーズ・ギター

Town And Country Blues/Jim Jiminee

I Love You/Pico

 

ちなみに1曲目はロシュフォールの恋人たちの「双子の歌」にしようと思っていたんですが、他のDJの皆さんが最初から飛ばしていたので咄嗟に変更しました。International ResqueにしろJim Jimineeにしろ回したのは何十年ぶり?でしたが、イントロだけであの頃の気持ちに戻れるぐらいの名曲ですね。特にJim Jimineeは下北沢のベースメントでのイベント「From Across The Turntable」で音楽ライターの宮子和和真さんが必ずかけたアンセムなので思い出深かったです。

 

久しぶりのアゲめの選曲で本人的には結構テンパってたはずなんですが、主宰者のあーるさんにノリノリの姿を激写されていました…。お恥ずかしい。


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【夫婦漫才B2B
Groove Tube/フリッパーズ・ギター(妻)
Groove Tube/井の頭レンジャーズ(私)


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B2Bは主宰のあーるさんから「奥さまもぜひ参加してください」と言われ、妻も何をかけようかとあれこれ考えていたのですが、イベント自体が終始アゲめのノリだったので調子に乗ってGroove Tubeメドレーをやりましたが、あーるさんから「2周年お祝いの曲を」と言われたのをすっかり忘れてしまいました。反省しています…(ビートルズホワイトアルバムの「Birthday」をかける予定でした)。

 

他のDJの皆さんの選曲も本当に楽しかったですが、やはりDJガンダムさんが1曲目に「燃え上がれガンダム」をかけたのは個人的にはイベントのハイライトでした。あと、還暦を迎えられたTequila Kubotaさんのハジケぶりは見習いたいです。


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2週続けてDJなんて本当に何年ぶりのことでしたが、とても楽しかったです。またお逢いしましょう。



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冬来りなば春遠からじ 1/27 Bar DoctorHead


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1月27日(土) 四ッ谷のBar DoctorHeadの人気イベント「Bar薫る」にまたお招き頂きDJしてきました。今回主催者あーるさんから頂いたお題は「冬にきく渋谷系とか」。冬というと普段はブルース・コバーンとか長谷川きよしとか音数の少ないフォークを好んで聴くのですが、DJで回す曲は正直考えたことはありませんでした。冬ソングとは?と部屋に散らばったレコード/CDをひっくり返した結果、安易ではありますが単純に歌詞に冬が出てくるものにしようと決めましたがそれだけではそれこそ寒い選曲になりかねないので、冬の寒さから春の暖かさへと季節の移ろいを感じられる「冬来りなば春遠からじ」をテーマにしました。

 

ちなみに「冬来りなば春遠からじ」という言葉は、「厳しい冬がやって来たならば、次には暖かな春がついそこまで来ている。どんなに現在が不遇であっても、その先には明るい希望の日々が待っているというたとえ。イギリスの叙情詩人シェリーの「西風に寄せる歌」の末節にある句」ですが、私が知ったのは松本大洋の漫画「花男」でした。私の脳はまあまあの漫画脳なのです。

 

相変わらず前置きが長くなりましたが、以下が選曲リストと駄文です(Spotifyには夏木マリの「かもめ」はなかったので代わりに港町つなぎで「港のマリー」を選曲しておきました)。

https://open.spotify.com/playlist/45MfcWv9QBhOkfaigCMEux?si=eZeeXyASTh6uKSe5l0qGLQ

 

●ひとりで眠ることを学ぶ。/ピチカート・ワン

1分もない短い打ち込みのインストですが、「冬にきく渋谷系とか」がテーマといわれ真っ先に思い出したのがこのジャケットでした。DJで使える曲はないですが冬の寒い日にひとりで聴くにはもってこいの私の冬アルバムです。先日収録曲の「イマジン」のカヴァーでヴォーカルを務めたマリーナ・ショウが亡くなり、彼女の追悼の意も込めました。

 

●メッセージ・ソング/ピチカート・ワン

ピチカート・ファイヴのオリジナル・ヴァージョンはゲストの花田裕之がギターを弾きまくるロック調ですが、今回はピチカート・ワンのジャズ調のライブ・ヴァージョンを選びました。初めて聴いた時は歌詞でなぜ「いつか大人になる日に君もたぶんどこかへ旅に出るはず」と出てくるのかわからず、後にインタビューで「離婚した娘へのメッセージ・ソング」だったと読んだのですが、この曲を「みんなのうた」に選んだNHKのプロデューサーさんは知っていたんでしょうか。

 

●かもめ/夏木マリ

小西康陽プロデュース夏木マリは本当に大好きで今回も選曲しました。原曲は浅川マキで歌詞は寺山修司です。歌詞に冬という言葉は出てきませんが、かもめは冬の鳥ですし港町の阿婆擦れ女に恋した男の身勝手な哀しい顛末を飄々と歌う夏木マリさんはまさに女優です。

 

●女港町/畠山美由紀

港町つなぎで畠山美由紀による八代亜紀のカヴァーです。八代亜紀の追悼の意もありましたが、畠山美由紀渋谷系の文脈では語られないものの彼女のユニットPort of Notes瀧見憲司クルーエル・レコードからデビューしてますし、ソロになってからも堀込康行・ハナレグミとの「真冬物語」(作詞:松本隆)、Free TempoやSugiuramnのフィーチャーリング・ヴォーカルなど幅広く活動する実力者のわりにはクラブでかかることが少ないと感じたので選びました。

 

●おもて寒いよね/野宮真貴横山剣

「冬にきく渋谷系とか」がテーマならやはり渋谷系の女王・野宮真貴は欠かせません。原曲は「Baby, It's Cold Outside」というクリスマスのスタンダード曲で、今回かけた日本語歌詞は田島貴男もリスペクトする日本のスウィング・ジャンプ・ブルースバンド吾妻光良&スウィンギン・バッパーズによるものです。寒い冬の夜のデートの後、帰ろうとする女性を男性が家に誘おうとするかけひきを歌ったコメディー・タッチの歌詞で毎年のようにビッグネームのアーティストによるデュエット・カヴァーがリリースされる人気曲でしたが、#MeTooムーブメントによって歌詞が不適切だとアメリカのとラジオ局に苦情が寄せられ放送禁止になるという騒動がありました。皆さんはこの曲を聴いてどう感じたでしょうか。

 

●指切り/矢舟テツロー

小西康陽野宮真貴をかけたなら歌うジャズ・ピアニスト矢舟テツローもやはり欠かせません。大瀧詠一のファーストソロアルバム収録曲のカヴァーですがピチカート・ファイヴのセカンドアルバム「ベリッシマ」に収録される予定だったそうです(後にベストリミックスアルバム「月面軟着陸」に収録)。歌い出しが「きみはとても鋭い爪で蜜柑の皮をむいているけど」という歌詞のせいか、こたつで向き合う男女を歌った曲のような気がするのは大瀧詠一が東北の生まれだからでしょうか。

 

●冬へと走りだそう 再び/かせきさいだぁ

歌詞に冬が出てくる曲といえばこの曲があったと思い出し久しぶりに聴きたくなり選曲しました。歌詞に出てくる「セブンファイヴオーライダー」は漫画「750ライダー」が元ネタで、「委員長を乗せて」の「委員長」は漫画のヒロインのあだ名です。小学生の頃この漫画が大好きな同級生がいてバイクの免許をとって彼女と2ケツするのが夢でしたが、高校生になって免許取り立ての原チャリで事故りバイク嫌いになったこともついでに思い出しました。

 

若草の頃カヒミ・カリィムッシュかまやつ

そろそろ寒い冬から暖かい春をつげる曲をと選びました。主催者あーるさんから「小山田圭吾さんの誕生日なので関連曲を」というリクエストもありましたし、小山田圭吾が作曲したカヒミ・カリィではこの曲がいちばん好きです。

 

●Camera Full of Kisses 全ての言葉はさよなら/フリッパーズ・ギター

「雪が溶けて僕たちは春を知る」「思いっきり僕たちはキスを投げてさよならする さよならする さよならをする!」ということで。

 

B2B

Raise Your Hand Together(320 light years mix)/Cornelius

小山田圭吾お誕生日おめでとうということで。

 

今回のBar薫るはSwinging Popsicle/Grenfelleの藤島美音子ちゃんがDJ、Swinging PopsicleのギターリストのしまっちさんがThe Carawayでソロライブ、というなかなかレアな組み合わせもあっていつも以上に盛り上がり楽しかったです。ただフロアの後ろでとはいえ無造作に着替えをするDJガンダムさんを目撃し、ヒーローショーの後に見てはいけないものを見てしまった子どものような気分になりました。

 

主催者のあーるさん、Bar Doctor Headのやなぎはらさん、DJの皆さん、The Carawayのしまっちさん、足を運んでくれたお客様の皆さん、私のDJが終わった後に駆け付けてくれた妻、ありがとうございました。またどこかでお逢いしましょう。


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2023年の個人的な記憶の記録


2023年が終わる。今年はアイズレー・ブラザースの「Harvest FOR The World」を繰り返し聴かざるを得ないほど、やるせない出来事が多すぎる一年であった。

 

赤ん坊はみんな一緒さ 誰もが一つの種なんだ

半分の人間が満たされ 半分は飢えている

愛は僕たちの中にたっぷりあるのに

強欲さに汚されている

いつになったら世界に収穫の時が来るのだろう

国家が植え育てるのは利得につながるものばかり

季節が巡るとともに痛みは大きくなってゆく

緊張することがあまりに多すぎる

いつになったら世界に収穫の時が来るのだろう

集まれ男たちよ 集まれ女たちよ


自らの命を祝い 子供たちに感謝を

集まれみんな あつまれみんな揃って

誰のことも見下ろさず 

この世界のために生活が

より良くなるよう願うんだ

僕は武装させられるんだ

ほしいのは平和だけなのに

代償を払うものは 全て失ったまま家に帰る

国民は次から次へと野獣に変わる

いつになったら世界に収穫の時が来るのだろう

 

多くのミュージシャン達が天に召されてしまった年でもあった。特に私が初めて買ったレコード・初めて観に行ったライブであったYMOのメンバー、高橋幸宏坂本龍一が亡くなった喪失感は大きく、デヴィッド・ボウイ、プリンス、ジョージ・マイケルなど洋楽に夢中になり始めた頃のスターたちが相次いで亡くなった2016年を思い出さざろう得ず、自分の記憶の中でキラキラしていた80年代の音楽の思い出が急に霞んでしまうようで感傷的な気持ちになる年でもあった。

 

その一方で、個人的には90~00年代のDJ時代が再来したかのように久しぶりにイベントで回す機会に恵まれた。ソフトロックイベントMagic Garden出張ver.に参加し憧れのDJでもあったコモエスタ八重樫さんにお会いできReadymadeのロングTシャツのデッドストックを買い、一緒に写真まで撮って頂けたのは嬉しかった。主催者の小方俊也さんとは後述のあーるさんのイベントでまたご一緒する機会があり、素晴らしいソフトロックDJを堪能することができた。


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また、四ッ谷のBarDoctorHeadなどで定期的にイベントを開催されているあーるさんがラウンジDJで回す日にお邪魔し、「トオルa.k.a.スケル 小西康陽を回す」と題し小西康陽作品だけを回すDJを披露したところ彼女に気に入って頂き、彼女の主催イベント「Bar薫る」に2度お招き頂き回す機会を得た。あーるさんとは昨年開催したファンジン『FOREVER DOCTOR HEAD'S WORLD TOWER』の発行記念トイベント『一日ヘッド博士三昧』でDJとして参加して頂いたのがきっかけだが、彼女のような年下の世代が自分が90~00年代に夢中になった音楽で楽しそうに踊るのをDJブースから見て、月並みだが音楽は時代を越えると改めて感じた。


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さらに勢いづき自主開催イベントとしては15年ぶりにクリスマスソングだけを回す「クリスマスソングの夕べ」まで開催するに至った。15年前のイベントもカヴァーソングしか回さない企画で、その時もクリスマスソングのカヴァーを回したので、我ながら進歩がないが結果的には平日の割には盛り上がりとても楽しかった。いつも私のわがままな選曲を受け入れて頂くBarDoctorHeadのやなぎはらさんには本当に感謝しかない。


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もちろん我が家のアニヴァーサリーマンスである9月には互いの誕生日と結婚記念日をいつものお店で祝った。

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年齢的には還暦まであと7年となった。人生100年時代などといわれる時代だが、歳をとって少しは賢くなったと思っても毎年予想もつかなかったことが起きる。結局のところいつものようにプリファブ・スプラウトのパディ・マクアルーンの言葉を思い出すのであった。

 

「まだこれから最良のものがやってくることを願う者にとって、ノスタルジーに浸ることは困難だ。先のことは誰にもわからない。人生は驚きの連続だ」

 


 

 

      

       

12.21.クリスマスソングの夕べ Bar DoctorHead


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私はクリスマスソングが好きでここ数年はサブスクで配信されるクリスマスソングのプレイリストを毎年つくるのが恒例になっているのですが、一方でクリスマスソングは企画ものが多いせいか、自分にとってはスタンダード化している曲でもサブスクにはないものが結構あります。

こういう埋もれつつある曲をいっぱい聴きたいな、それならばせっかく最近久しぶりにDJをやるようになったんだから、クリスマスソングだけがかかるイベントをやろうと勢いづき、12月21日木曜日にBar DoctorHeadで「クリスマスソングの夕べ」を企画するに至りました。自主企画のイベントとしてはなんと15年ぶり。確かほぼ同じ時期でカヴァーソングしか回さないイベントでその時もクリスマスソングのカヴァー曲を回しました。我ながら発想に進歩がないです。

ちなみに「クリスマスソングの夕べ」というタイトルはEテレの5分番組「2355」でたまに放映される「トビーの映画音楽の夕べ」が元ネタです。ウチの妻はなぜか「夕べ」という言葉が気に入っていてこのコーナーが始まると「夕べっていい言葉だよね」としきりに言うので、それならイベントのタイトルに使おうと思った次第です。

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以下、私の選曲リストです(順番はうろ覚え)。

 

【1st Set】
♪Hot Club Of Christ / Aztec Camera

一曲目はクレプスキュールのクリスマスソング・コンピ「Ghosts Of Christmas」収録のこの曲。クリスマスソングのスタンダードをメドレーでロディがギター弾きまくる楽しいインストです。


♪サンタが街にやって来る / Young Odeon

小西康陽ハモンドオルガンプレイヤーの井上大介によるユニット。もともとはネオGSレーベルのミントサウドのクリスマスアルバムのために録音された曲ですがレコードは売ってしまいました。


Merry Christmas Mr. Lawrence / 井の頭レンジャーズ

やはりこの曲は外せませんでした。とは言えオリジナルver.ではしんみりしてしまうので、カヴァーしかやらない井の頭レンジャーズのレゲエカヴーを選びました。あのフレーズをオルガンで延々と弾くやや狂喜じみたアレンジがクセになります。


♪X'mas No Hi / Original Love

インディーズ時代に唯一リリースされたアルバム収録の曲で「しゃくだから隣の家に入り火をつけた」「クリスマスの火 燃え盛ってる」「これが俺のクリスマス!」と放火魔のことを歌っているとしか言いようがない歌詞で、田島貴男の作詞センスを疑いたくなります。


♪Christmas Wish / NRBQ

おっさん達のパジャマ姿のジャケットといい、トイピアノなどのオモチャ楽器によるチープな演奏といい、なんとも味わいがある曲で私が最も好きなクリスマスソングです。


♪The Bell That Couldn't Jingle / Herb Alpert

トランペット奏者が唯一(多分)残したヴォーカル曲がクリスマスソングでしかもバート・バカラック作曲というのは何か特別な気持ちが込められていたのではと考えたくなりますが、ご本人のヴォーカル自体はのほほんとしてて和みます。


♪The Bell That Couldn't Jingle / Anita Kerr Singers

前曲のコーラスグループのver.です。途中でスタンダード曲ジングルベルのフレーズを織り込む洒脱なアレンジがお気に入りです。


♪I Don't Intend To Spend Christmas Without You / Claudine Longet

クロディーヌ・ロンジェのシングルリリースのみのクリスマスソング。ピチカート・ファイヴの「20th Century Girl」の元ネタで、セント・エティエンヌもカヴァーしています。

 

【2nd Set】
♪Noel a Go Go / Monoprix

00年代初頭に今は亡きダンスミュージックレコードで買った7inch。「オルガンバーなどで活躍する超有名DJ2人による覆面ユニット」という触れ込みでしたが結局今でもこの2人が誰なのかわかりません。それはそうとして、讃美歌のような女性パパパスキャット入りのHCFDMみあるダンスチューンで結構お客さんの反応がありました。


♪Christmas Tears / Hit Parade starring Amelia Fletcher

ヒットパレードはイギリスのネオアコバンドとして人気がありますがこの曲はなぜか打ち込みのシンセポップでしかもヴォーカルはヘヴンリーのアメリア・フレッチャー。確かビニールジャパンからリリースされた2ndアルバム(?)のおまけだったと思うのですがアルバムはこれまた売ってしまいました。


Last Christmas / Kids Christmas

スターバックスの店舗限定で販売された子供もののクリスマスソングのカヴァーアルバムからWham!の名曲を選びました。企画盤のわりにはやけに出来のいいアレンジでお客さんの反応もよかったのですが、改めて調べてみたらアルバムのプロデューサーのニック・ウッドは日本在住のイギリス人でKIRINのサッカー日本代表応援キャンペーンソング「Passion」を手掛けるなどかなりの大物で驚きました。


♪12月24日 / Pizzicato Five

スクーターズのロニーがヴォーカルのアルバム収録ver.。ピチカート・ファイヴのラストアルバム「さ・え・らジャポン」収録ver.では曲の合間にふかわりょうがクリスマスネタを呟きますが選曲の流れ的にはちょっと余計なので、ネタ無しのベストアルバムver.にしました。


♪Siide / Flipper's Guitar

「ヘッド博士」ファンジンを作った私がこの曲をかけないでどうする!ということで。その昔、この曲をカラオケで見事に再現する双子の女の子がいたのですが、2人して私の本名が"スケル"だと思い込んでいた変な子たちでした。ちなみに"スケル"というあだ名は大学時代にバイトしていたレンタルレコード屋で自分のことを"俺様"と呼ぶ一風変わった女性がいて、彼女が私の本名の"透"から名付けました。

 

B2B

Bossa Nova No.9 / Tokyo's Coolet Combo

順番的にイベントの最後のシメの曲だったので、クリスマスが終わり一年のシメといったらベートーベンの第九でしょということで小西康陽プロデュースによるラウンジユニットによるカヴァーを選びました。クリスマスソングではないですがMUSIC FOR DECEMBER'S CHILDRENというクリスマスミニアルバムに収録されています。

 

♪Christmas Time Is Here / Vince Guaraldi Trio

 イベント終了を告げる鐘の音的な役割として子ども達のコーラスが美しいこの曲をかけました。その昔、友人にクリスマスソングの選曲テープをつくる時は必ず最後にこの曲を選びました。

 

以上、つらつらと私の選曲リストを書きましたが、参加してくださったDJのGALLAーOさん、あーるさん、ミネコフさん、B2Bに飛び入りで参加した私の妻、Takanashiさん、Inoueさん、Kimuraさんとほとんど曲が被らず、それぞれが好きなクリスマスソングを回しまくったのに、♪きっと君は来ない~とか♪All I Want For Christmas Is You~とか世間的には鉄板のクリスマスソングは一切かからない、ある意味奇妙な「クリスマスの夕べ」になり、大変楽しかったです。残念ながらかけられなかったクリスマスソングもまだまだあるので、気が早いですが来年も「クリスマスソングの夕べ」をやりたいと思います。

平日にもかかわらず来てくださったお客様の皆さん、本当にありがとうございました。何よりいつも私のわがままな選曲を受け入れてくれるBar DoctorHeadのやなぎはらさんに感謝します。


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ここまで読んでくださった皆様、メリークリスマス、良いお年を。

 

なぜモリッシーが好きなのかがわかった夜~40 YEARS OF MORRISSEY 2023.11.28.豊洲PIT


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妻:「なんで今さらモリッシー見に行きたいの?」

私:「モリッシーも64歳だし、私も五十路だし、もう次はないかもしれないじゃない?だから一応見とこうかなと思って」

 

記録的な酷暑が続く8月、モリッシーの来日公演が発表された。たった一日でしかもスタンディング。チケット代も12500円と安くはない。何より私は32年前の初来日公演を見ているのだが正直さほどいい印象はなかったのだ。

 

●THAT’S MISSERABLE ENTERTAINMENT!~1991年のモリッシー来日公演再録

https://vibechant.hatenablog.com/entry/2016/07/30/THAT%E2%80%99S_MISSERABLE_ENTERTAINMENT%EF%BC%81%EF%BD%9E1991%E5%B9%B4%E3%81%AE%E3%83%A2%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%BC%E6%9D%A5%E6%97%A5%E5%85%AC%E6%BC%94%E5%86%8D%E9%8C%B2

 

「プレミアチケット必至!」の煽りがあったもののチケットはあっさり取れた。だが11月になると予定されていたアジアの4公演はことごとくキャンセル、「豊洲もキャンセルだろうから浮いたチケット代で何か美味しいものでも食べに行こうか」と妻と話していた。しかしその日はやってきた。当日のドタキャンは勘弁と思いながらも豊洲に向かう。ツイッター(現X)で早くも物販に並ぶ人が「リハでモリッシーの声が聞こえる!」と投稿していたがそれでも現実味はなかった。

 

豊洲PITに着き中に入ると手厚いご歓迎に苦笑する。
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前に行く体力も気力もないので最後尾に陣取る。かろうじてステージのスクリーンが見えるがこの時点でも現実味がない。


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「間もなく開演です」のアナウンスがあり会場に大歓声が沸くが始まったのはモリッシー・セレクション・ミュージックビデオ上映会。シンニード・オコナーの「Nothing Compares 2 U」には涙腺が崩壊しそうになったが、ダラダラとミュージックビデオが30分以上垂れ流され続け「機嫌損ねてキャンセルか」と覚悟していたが、遂に客電が落ちた。

 

最後尾なので姿は見えないが、「コンニチワー!!ユーアーザワンフォーミー…トーキョー!!」とモリッシーのMCが聞こえる。あれ?上機嫌じゃん、初来日の時は日本語のMCなんてあったっけ?とあまりにも待たされたので正直冷めていたが、「We Hate It When Our Friends Become Successful」を歌い出し、モリッシーの声を聴いてはっきり言って驚愕した。力強い。しかも美しい。とても64歳の男性の歌声とは思えない。そしてようやくわかった。私はモリッシーの歌声が好きなのだ。歌声でこれだけ人を魅了できる唯一無二の歌手。それが私がモリッシーが好きな理由なのだ。極めて単純な理由だが単純だからこそ動かしようのない事実であり、天賦の才としか言いようがない。

 

モリッシーの歌声は最後まで衰えることがなかった。終盤の「Please, Please, Please, Let Me Get what I Want」と「Everyday Is Like Sunday」は胸打たれる絶唱だった。アンコールの激しいアップテンポナンバーの「Sweet and Tender Hooligan」すら美しく聴こえた。

 

「人が何と言おうと、とにかく僕は勝った。戦いはすでに終わってしまったんだよ」。ーかつてモリッシーが語った言葉の意味がわかったような気がした一夜だった。きっと50 YEARS OF MORRISSEYもあるだろう。その日に向けチョコザップにでも行くか。