今更だがこないだツイートした2019年上半期ベストアルバム9枚。
When I Get Home/Solange
Nice To Meet You/Pi Ja ma
Lucid /Raveena
Fear Gorta/Fear Gorta
Hochono House/細野晴臣
35 mm/Juan Fermin Ferrarris
Quartetto Sentinela/Quartetto Sentinela
Turning Point/Celso Fonceca
Q曲/東郷清丸
リズムが跳ねてたり変則的なものよりメロウで心地好いものを好んで聴いた。年のせいもあるがこの傾向の決定打となったのはやはりSolange。サブスクでの突然の発表やプレイリストに入れられることを拒むようなシームレスな曲のつなぎが話題だったが自身のヴォーカルも楽器のように扱う音に対する美意識がひたすらに心地好かった。RaveenaもSolangeほどのこだわりはないが心地好さでは同等だったし、Juan Fermin Ferrarrisの美意識も匹敵するものがあった。
ブラジルはミナスを中心にいろいろ聴いたが結局ここでも心地好さを優先しQuartetto SentinelaとCelso Foncecaを選んだ。Fear Gortaはリズムが激しい曲もあるがヴォーカルはしっかり歌っているのが良かった。Pi Ja Maも可愛らしさだけではない自己主張のあるフレンチポップだった。東郷清丸もジャケットからは想像のつかない気持ちいいメロディーとビートの響かせ方が絶妙。そして71歳でほぼ半世紀前の自身のアルバムを新鮮な音に作り替える細野さんの凄さに敬服した。
数年前はベストアルバム9枚すら選べないほど新譜からは遠ざかっていた。2015年に日本でサブスクが相次いで始まった時はスマホがAndroidがだったのでAWAを選んだが昔聴いた音楽のプレイリストばかり作っていた。翌年Spotifyが日本でもスタートしツイッターの音楽好きフォロワーさんも使ってるのがSpotifyかApple Musicが多かったのでスマホの機種交換のタイミングでSpotifyに乗り換えた。
今回選んだ9枚のうちCDで買った(フィジカルという言い方はいまだに慣れないので使わない)のは細野さん、Juan Fermin Ferrarris、Celso Foncecaの3枚。他の6枚はツイッターで知りSpotifyで聴いた。SolangeのようにCDではリリースされてないものもあるし、Celso FoncecaもCDが出たのは今年だがサブスクではすでに昨年リリースされていた。
「CDを買ったのは3枚で残りはサブスクで聴いた」。この文章を読んで頂いてる(多分)音楽好きのあなたはどう思っただろうか。「たったの3枚?」だろうか。「まだCD買うんだ」だろうか。
聴き放題は音楽の垂れ流しだ、モノではなくサービスなので所有感がなく愛着がわかない、ライナーノーツやクレジットがなく自分で掘り下げる情報が乏しい、プレイリストやお勧めするものに慣らされてしまっている、ミュージシャンに入るお金が少なく好きならCDやレコードを買うべきだ、などサブスクに対する批判は根強い。サブスク間であるものないものの差はかなりあるし、版権の関係などで聴けなくなってしまうものも多く音楽サービスとしてはまだ脆弱であり、まだまだ過渡期で不完全なものであることは否めない。
ただ思うのは頼むから少なくとも自分が生きている間はもうこれ以上音楽の流通形態を変えることは止めてほしいということだ。僕の世代はレコード→CD→データ配信→サブスク、カセット→MD→CDーRと変化が激しくそのたびにミニコンポ→CDラジカセ→パソコン&スピーカー、ウォークマン→ディスクマン→MDウォークマン→iPod、と新しく機器を買わなければいけなかった。投資した額はレコードやCDよりかかったのが一般的ではないだろうか(僕のようにレコードやCDの購入額の方が遥かに上回るという猛者もいるだろうが)。
最近のレコードブームを訝しく思うのもこれに近い。CDが登場した時のことを思い出してほしい。レコードの生産は早々と打ち切られ、CDプレイヤーの販売促進のためかのようにレコードプレイヤーはあっという間に隅に追いやられた。ところが今のサブスク時代が来ると矛先はCDに向けられ、かつて見きりをつけたレコードを引っ張り出す。レコード会社と電機メーカー主導で音楽業界を変化させ、結局いつも振り回されるのはミュージシャンとリスナー。こんな状況では音楽に対する愛がどうのこうのとか言うこと自体が馬鹿らしくなってきてしまう。
それでも音楽を聴き続けるのはやっぱり好きだから。レコードだろうがCDだろうがサブスクだろうが肝心なのは中身であって聴き方に上下はないと思っている。だいぶ話が逸れてしまったが下半期も良い音楽に出会えることを願って。