夏をあきらめて

波音が響けば雨雲が近づく
二人で思い切り遊ぶはずの

On the Beach
きっと誰かが恋に破れ

噂のタネに邪魔する
君の身体も濡れたまま

乾く間もなくて
胸元が揺れたら

しずくが砂に舞い
言葉も無いままに

あきらめの夏

 

夏をあきらめて

サザンオールスターズ研ナオコ

 

緊急事態宣言解除から2ヶ月、感染者が再び増加した「特別な夏」(©️小池百合子)。世間はお盆休みだが夫婦ともに小売業の我が家は「夫は都下の倉庫へ中古CDの査定に  妻は家でテレワークをしていました」の毎日で、桃太郎が入った大きな桃は流れてこないが代わりに妻のお母様から頂いた桃を毎晩美味しく食べている。

 

毎年まとまった休みはないものも見たいアーティストがあれば夏フェスに出かける年もあった。2013年のソニックマニアは初来日の1989年以来四半期振りに見たストーンローゼズのイアンの下手くそなヴォーカルとモンキーダンスの変わらなさに感動したし、2015年のソニックマニアプロディジーでは最前列に突っ込む妻の後を追おうとしたら屈強なYOUにエルボーを喰らい突き飛ばされたのも良い思い出だし、2016年は大森靖子に「テクノおっさん」と罵れながらも30年以上振りに「君に胸キュン」ダンスができたのは感無量だったし、2018年のソニックマニアジョージ・クリントンの「フジロック~!!」と電気グルーヴのゲストの日出郎の「肛門よ~!!」は記憶に残るシャウトだった。

 

今年は電気グルーヴフジロックで復活するので妻も「遂に苗場デビューか?!」と盛り上がっていたが「延期グルーヴ」になってしまった。もちろん他の音楽フェスも軒並み中止・延期。サマソニの代わりの9月のスーパーソニックも多分無理だろう(※8月11に延期が発表された)。夏フェスシーズンは出演アーティストの代表作やベスト盤が売れるので中古屋にとっても結構な痛手だったりする。

 

ネット配信が「ウィズコロナ」「ポストコロナ」時代の楽しみ方になりつつあるが、どうも苦手で気になるものがあっても結局きちんと見たことがない。ライブやクラブが好きなのは視覚や聴覚だけでなく、身体全体で音を感じることができるからだろう。「ネット時代でいちばん衰えるのは触覚」と言ってたのは誰だったけ。そういえば子供の頃に読んだドラえもんのび太のパパに進化させるライトを浴びせたら、手足がタコみたいに細く衰えて気味悪かったのを覚えている。

 

音楽フェスがないのならせめて映画館や美術館にでもと思うが「クラスターフェス」などとオウム真理教かよと思う集団も出てきたのでいちばん近い繁華街の渋谷に行くのも億劫になる。もう5ヶ月は行ってない。兆楽のルースーチャーハンが恋しい。

 

おそらく今年いっぱいはこんな感じで自粛したり解除したりの繰り返しなのだろう。せめて9月は飲食店が通常営業に戻って欲しい。9月は我が家のお互いの誕生日と結婚記念日がある盆と正月が一緒に来たようなおめでたい月なのだから。

 

なのでとりあえずは、

 

このまま君と あきらめの夏