きっかけは、ライターの大塚幸代ちゃんが亡くなったこと。彼女の訃報があってから、ネットに垂れ流される書き込みを見ていたが、クイックジャパンでオザケンの追っかけをした非常識なライターという認識が大半だった。それを見ていると自分までそう思ってしまうような気になり、自分の覚えている幸代ちゃんのことを書き留めておこうと思ったのだ。
幸代ちゃんが記憶の箱を開けたのか、不思議なことにその後、ちょっとした“渋谷系リバイバル”が起きた。小沢健二の雑誌『Monkey』の寄稿、小西康陽のPIZZICATO ONEのアルバム『わたくしの二十世紀』と野宮真貴のアルバム『世界は愛を求めている。~野宮真貴、渋谷系を歌う』のリリース&ライブ、サバービアの名盤CD再発、樋口毅宏の小説『ドルフィン・ソングを救え!』の発刊…。渋谷系が好きだった人とのTwitterの相互フォローも増えた。
フォロワーさんのツイートで、小沢健二が「人間は12月になると回顧に入るから、1年の十二分の一を回顧に費やしていることになる」と何かの雑誌のコラムで書いていた、というのを読んだが、自分は12月になるとどころか、一年中回顧に費やしているようなものだった。もう人生の半分を生きたのだから、昔語りが増えるのも仕方がないかもしれないし、「その素晴らしさを伝えていくのが、愛する者の務めではないだろうか」(『ドルフィン・ソングを救え!』)とは思う。
ただ、これからもまだ最良のものが来ることを願うのなら、ノスタルジーに浸ってばかりはいられない。年をとって少しは賢くなっても、何かの助けにもなるわけではない。人生は驚きの連続なのだから。
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