トオルa.k.a.スケル 小沢健二と渋谷系を久しぶりに回す

10月15日(日) 四ッ谷のBar DoctorHeadの人気イベント「Bar薫る」にお招き頂きDJしてきました。主催者あーるさんから頂いたお題は「小沢健二渋谷系」。Twitter(現X)での告知では「''渋谷系おじさん''仕草のマニアックな選曲ではなく五十路のいま自分が回したい直球の「小沢健二渋谷系」を披露したいと思います」と大見得を切ったものの、ああでもないこうでもないとCDをひっくり返し悩んだ結果、「五十路の精一杯アゲめの小沢健二渋谷系」でいこうとこの選曲になりました(ちなみに他の候補は「五十路のメロウな小沢健二渋谷系」と「五十路の枯れた小沢健二渋谷系」でした)。

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●Sunday/Tokyo No.1 Soul Set

一曲目は日曜日だし小沢健二と言えばソウルセットでしょとこの曲。私がソウルセットを初めて知ったのは1993年の小沢健二日比谷野外音楽堂でのデビューフリーライブで彼らがオープニングアクトを務めた時。このライブは来場者多数で会場には入れず小雨降る寒い中、外で野音から漏れてくる音を聴いてました。

 

●しらけちまうぜ/東京スカパラダイスオーケストラfea. 小沢健二

小沢健二と言えばスカパラでしょとこの曲。元曲は作詞:松本隆、作曲:細野晴臣小坂忠の名曲です。今のシティポップブームで人気の曲ですが、90年代のフリーソウルの頃もクラブでよくかかり今は無き輸入レコード屋CISCOがレコードで再発したほどでした。

 

●ホテルと嵐/小沢健二

小沢健二のアルバムでは「球体が奏でる音楽」がいちばん好きなんです。特にこの曲はスカパラのホーンも抽象的な寓話のような歌詞も最高傑作だと思っていて、小沢健二はこの路線でシンガーソングライターとして成熟し、いい意味で枯れていってほしいと当時は勝手に思ったものでした。

 

●ローマを見てから、死ね/夏木マリ

小西康陽プロデュースの夏木マリはどの曲にするか悩んだほど大好きなんですが、渋谷系はほとんど聴かない妻(プロディジー推しのテクノ好き)がこの曲を気に入っているので選びました。「ホテルと嵐」のホーンの終わりと「ローマを見てから、死ね」のチェンバロの始まりはBPM的にもいいつなぎができたと個人的には満足しています。

 

●陽の当たる大通り/小西康陽

小西康陽プロデュース曲をかけたらならやはりご本人は外せません。今のところ矢舟テツロー・トリオを率いた「小西康陽 小西康陽を歌う」のスタジオ録音はこのライブ会場限定販売の7インチ「小西康陽のの当たる河馬」でしか聴けませんが、とにかく毎回ライブが素晴らしいのでぜひともアルバムをリリースしてほしいです。

 

●Cherish Our Live/Love Tambourines

ジャズ・スタイルの楽曲が続いたところでやや強引なつなぎでしたが、選曲のお題が渋谷系ですからこの曲も外せませんでした。もちろん今聴いてもバンド名に相応しい愛に満ちた素晴らしい曲ですが、何よりこのバンドを見出だした瀧見憲司こそが渋谷系の伝道師だと思うからです。ネオアコに始まりジャズ、ソウルに路線を変更し、ハウスを経て現在はバレアリックと変貌を遂げた瀧見憲司の選曲スタイルは渋谷系と呼ばれた音楽を聴いていた私の音楽遍歴でもあります。

 

●Since Yesterday/marimari rhythmkiller machinegun

渋谷系とは言い難い曲ですが、選曲中にこのCDが出てきて久しぶりに聴いたらあまりの良さに愕然とし、以来頭の中でずっとリピートしてたので選びました。原曲のストロベリー・スウィチブレイドは明るいシンセポップとは裏腹の失恋ソングですが、marimariによる日本語詞は彼女の当時のパートナーであったフィッシュマンズ佐藤伸治を優しく包み込みような歌詞で、歳をとって涙もろくなったおじさんにはたまらないのです。

 

【Back to Back】

●グルーヴチューヴ/井の頭レンジャーズ fea. 曽我部恵一

小沢健二の楽曲が続くなか、邪道な選曲ですみませんでした。B to Bというとネタに走る昔の悪い癖が出てしまい…(00年代にカヴァー曲しか回さないDJをやっていました)。知らない方もいたようですが再発の7インチはまだ買えます。カップリングのBorn Slippy/Underworldはテクノ好きの妻も爆笑しました。

https://parktone.thebase.in/items/38135307

 

こうやって振り替えるとイベントのお題の「小沢健二渋谷系」に相応しい選曲だったのか我ながら甚だ疑問ではありますが、これが90年代に渋谷系と言われる音楽を聴いた五十路の「今はこれが精一杯」の選曲なのでした(おそらく私が最年長だったと思います)。

 

オーガナイザーのあーるさん、Bar Doctor Headのやなぎはらさん、小沢健二の秘蔵映像を披露されたチビママさん、DJの皆さん、何より足を運んでくれたお客様の皆さん、ありがとうございました。またどこかでお逢いしましょう。

 



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