トオルa.k.a.スケル 渋谷系とそのルーツを回す

11月23日(木) 四ッ谷のBar DoctorHeadの人気イベント「Bar薫る」にまたお招き頂きDJしてきました。今回主催者あーるさんから頂いたお題は「自由度」でいわゆる渋谷系と呼ばれるアーティストの楽曲だけでなく参加DJそれぞれが解釈を広げてほしいとのことだったので、23日は勤労解釈の日なので90年代に渋谷の中古盤で買い漁ったソフトロック、フレンチポップ、ラテン、昭和歌謡を久しぶりに回すことにしました。題して「渋谷系とそのルーツでレッツ・ラブまたは勤労はレコード代のためにあると思っていたあの頃」。


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【1回目】

●私の好きなもの/佐良直美

1曲目としてはクラブ映えはしない佐良直美昭和歌謡ボサですが、次にかけた夏木マリの呼び水のようなもので歌詞でつなぐのもおもしろいと思い選びました。作詞は永六輔で自分が好きなものをつらつらと並べつつ「あなたがいちばん好き」と歌うベタベタのラブソングですが、好きなものに「三味線のつまびき」が出てくるのが昭和で笑えます。

https://youtu.be/rbMIiLhhMBg?si=kBkHxboFgE57QtHu


●いちばん好きなもの/夏木マリ

小西康陽プロデュースの夏木マリはどの曲も好きなんですが、今回は歌詞つなぎでこの曲を選びました。これもクラブ映えのつなぎを狙うなら最初の語りはカットすべきですが、夏木マリさんは女優ですから最初からかけました(単にCDJに慣れてないのもあります)。

https://youtu.be/tMQSLFFF0So?si=qSkINXrxO8BbcOde


●大人になれば/小沢健二

主催者のあーるさんが小沢健二好きですし、夏木マリの大人の哀しい恋愛ソングにつなぐのも歌詞的におもしろいかもと思い選びました。ちなみに私の数少ないカラオケのレパートリーでもあり、スキャットの部分も再現します。

https://youtu.be/kA1RsZBENd0?si=vU7QbTj781fRuRad

 

●A Smile And A Ribbon/Prudence

子どもモノの音楽は大好物で中でもPatience And Prudenceはいちばん好きな子どもモノですが、妹のPrudenceのソロ曲を選びました。トイピアノのイントロが小沢健二の「大人になれば」のピアノと合うかもと思ったのもありますが、22年ぶりにリバイバル上映が決まった私が大好きな映画「ゴーストワールド」でこの曲が使われいて動画ではストーリーの前後がわからないとは思いますが、「笑顔と髪にリボンをつけるから注目されるのよ」という歌詞があまりにも皮肉で見るたびに涙腺が崩壊します。

https://youtu.be/_ZGfdFL0aiE?si=2VuEa0IF9gMYcA79


●So Einen Jungen Mann/France Gall

フレンチポップといえばフランスギャルでジャケットも魅力的ですが、個人的にはいちばんかわいいジャケットだと思うこの曲を選びました。タイトルも歌詞もフランス語ですが、原曲はボサノヴァのスタンダードの「サマーサンバ」です。

https://youtu.be/nj6Wx-Msy04?si=RRNuavI1eA7fLC8E


●走れニコ/鹿島とも子

若い世代には鹿島とも子と言われてもピンとこないと思いますが、私たちの世代にとってはオウム真理教での広告担当としての活動と長女拉致事件が有名で忌まわしい記憶の方が強いでしょう。そんな彼女ですが、日劇ダンシングチーム所属時代に残した「走れニコ」は日本語の歌詞の歌い出しが二番からはフランス語に変わるなんともお洒落な昭和歌謡ソフトロックなのでした。

https://nico.ms/nm13416304?ref=other_cap_off

 

【2回目】
●Tour Of Jamaica/Mighty Sparrow

1回目がちょっとウェットな選曲だったので2回目は陽気に行こうと景気づけに1曲目はMighty Sparrowのこの曲を選びました。ヤン富田プロデュースのいとうせいこう日本語ラップ名盤「MESS/AGE」でもサンプリングされたカリプソでDJクボタタケシもよく回していました。

https://youtu.be/1yofEo3KGI8?si=WE8R1qZxxUzKfQoI


●Le Petit Quica/Marpesa Dawn

映画「黒いオルフェ」の主演女優だったMarpesa Dawnが残した数少ないシングル曲で、私が世界一キュートなサンバだと思う曲です。かつて外苑前にMin Franceと言うフレンチポップ専門店があり、店長Yさんの「これウチで買ったの小西康陽くんと須永辰緒くんだけ」という誘惑文句に負け、高額を叩いた思い出の一枚でもあります。

https://youtu.be/JOt3-sU9zug?si=1AlOIGQBfZXke4Z7


●ストリート・サンバ/泉田エミイ

サンバつながりでこの曲を。泉田エミイは渡辺貞夫が見いだしたブラジル二世でこの曲も日本語の歌い出しから二番がポルトガル語になるのがお洒落な昭和歌謡ボサです。

https://youtu.be/9fVwzQq0p5g?si=MTq9-QJWcbLYEhw-

 

●Summer Beauty1990/野宮真貴カジヒデキ

選曲テーマはこの曲の日本語タイトルから文字りました。7inchで回したかったので野宮真貴カジヒデキのカヴァーver.を選びました。

https://youtu.be/f2sXihgLXXY?si=wQ33rhNDiSARB6-M


●Can't Take My Eyes Off You/Zard

小西康陽プロデュースの珍盤です。もともとはZardのアルバム「永遠」の初回特典の8cmCDだったものを12インチレコード化したもので私が唯一持っているZardの一枚ですが、坂井泉水はガチでボーイズタウンギャングの「君の瞳に恋してる」が大好きだったらしくカヴァーをやるならこの曲と自ら選んだそうです。子どものコーラスが可愛らしくてカヴァー曲専門DJをやっていた頃は必殺の一枚でした。

https://youtu.be/qAscGakJbcY?si=DIGioYEN4jFs5LNg


●陽の当たる大通り/小西康陽

小西康陽つながりでやはりこの曲は欠かせませんでした。今のところライブ会場限定販売の7inchのためネットには音源がありませんが、「小西康陽 小西康陽を歌う」のアルバムのリリースを切に願います。

 

B2B

●It's You/Sunaga t Experience

リリースの時期的にも渋谷系と言える曲ではありませんが、妻のリクエストでこの曲を選びました。主催者のあーるさんも好きな曲だったようなので結果オーライかなと思ってます。

https://youtu.be/dT4kEuEJy64?si=Hc5P50u6nvY8iOKt

 

今回は「自由度」がテーマだったので参加DJの選曲の個性がより出て楽しい一時でした。特にソフトロックイベント「magic garden」を主宰されている小方俊也さんの「小西(康陽)さんに教えてもらったレコード」をテーマにしたDJは素晴らしくソフトロックの真髄を堪能しました。そしてDJガンダムさんの早つなぎはやはり「連邦の化け物」級でした。ユーミンの「Sweet Dreams」から矢野顕子の「行け柳田」をつなぐなんて普通やらないでしょ!

 

主催者のあーるさん、Bar Doctor Headのやなぎはらさん、DJの皆さん、足を運んでくれたお客様の皆さん、テクノ好きで渋谷系はほとんど聴かないのに付き添ってくれた妻、ありがとうございました。またどこかでお逢いしましょう。


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トオルa.k.a.スケル 小沢健二と渋谷系を久しぶりに回す

10月15日(日) 四ッ谷のBar DoctorHeadの人気イベント「Bar薫る」にお招き頂きDJしてきました。主催者あーるさんから頂いたお題は「小沢健二渋谷系」。Twitter(現X)での告知では「''渋谷系おじさん''仕草のマニアックな選曲ではなく五十路のいま自分が回したい直球の「小沢健二渋谷系」を披露したいと思います」と大見得を切ったものの、ああでもないこうでもないとCDをひっくり返し悩んだ結果、「五十路の精一杯アゲめの小沢健二渋谷系」でいこうとこの選曲になりました(ちなみに他の候補は「五十路のメロウな小沢健二渋谷系」と「五十路の枯れた小沢健二渋谷系」でした)。

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●Sunday/Tokyo No.1 Soul Set

一曲目は日曜日だし小沢健二と言えばソウルセットでしょとこの曲。私がソウルセットを初めて知ったのは1993年の小沢健二日比谷野外音楽堂でのデビューフリーライブで彼らがオープニングアクトを務めた時。このライブは来場者多数で会場には入れず小雨降る寒い中、外で野音から漏れてくる音を聴いてました。

 

●しらけちまうぜ/東京スカパラダイスオーケストラfea. 小沢健二

小沢健二と言えばスカパラでしょとこの曲。元曲は作詞:松本隆、作曲:細野晴臣小坂忠の名曲です。今のシティポップブームで人気の曲ですが、90年代のフリーソウルの頃もクラブでよくかかり今は無き輸入レコード屋CISCOがレコードで再発したほどでした。

 

●ホテルと嵐/小沢健二

小沢健二のアルバムでは「球体が奏でる音楽」がいちばん好きなんです。特にこの曲はスカパラのホーンも抽象的な寓話のような歌詞も最高傑作だと思っていて、小沢健二はこの路線でシンガーソングライターとして成熟し、いい意味で枯れていってほしいと当時は勝手に思ったものでした。

 

●ローマを見てから、死ね/夏木マリ

小西康陽プロデュースの夏木マリはどの曲にするか悩んだほど大好きなんですが、渋谷系はほとんど聴かない妻(プロディジー推しのテクノ好き)がこの曲を気に入っているので選びました。「ホテルと嵐」のホーンの終わりと「ローマを見てから、死ね」のチェンバロの始まりはBPM的にもいいつなぎができたと個人的には満足しています。

 

●陽の当たる大通り/小西康陽

小西康陽プロデュース曲をかけたらならやはりご本人は外せません。今のところ矢舟テツロー・トリオを率いた「小西康陽 小西康陽を歌う」のスタジオ録音はこのライブ会場限定販売の7インチ「小西康陽のの当たる河馬」でしか聴けませんが、とにかく毎回ライブが素晴らしいのでぜひともアルバムをリリースしてほしいです。

 

●Cherish Our Live/Love Tambourines

ジャズ・スタイルの楽曲が続いたところでやや強引なつなぎでしたが、選曲のお題が渋谷系ですからこの曲も外せませんでした。もちろん今聴いてもバンド名に相応しい愛に満ちた素晴らしい曲ですが、何よりこのバンドを見出だした瀧見憲司こそが渋谷系の伝道師だと思うからです。ネオアコに始まりジャズ、ソウルに路線を変更し、ハウスを経て現在はバレアリックと変貌を遂げた瀧見憲司の選曲スタイルは渋谷系と呼ばれた音楽を聴いていた私の音楽遍歴でもあります。

 

●Since Yesterday/marimari rhythmkiller machinegun

渋谷系とは言い難い曲ですが、選曲中にこのCDが出てきて久しぶりに聴いたらあまりの良さに愕然とし、以来頭の中でずっとリピートしてたので選びました。原曲のストロベリー・スウィチブレイドは明るいシンセポップとは裏腹の失恋ソングですが、marimariによる日本語詞は彼女の当時のパートナーであったフィッシュマンズ佐藤伸治を優しく包み込みような歌詞で、歳をとって涙もろくなったおじさんにはたまらないのです。

 

【Back to Back】

●グルーヴチューヴ/井の頭レンジャーズ fea. 曽我部恵一

小沢健二の楽曲が続くなか、邪道な選曲ですみませんでした。B to Bというとネタに走る昔の悪い癖が出てしまい…(00年代にカヴァー曲しか回さないDJをやっていました)。知らない方もいたようですが再発の7インチはまだ買えます。カップリングのBorn Slippy/Underworldはテクノ好きの妻も爆笑しました。

https://parktone.thebase.in/items/38135307

 

こうやって振り替えるとイベントのお題の「小沢健二渋谷系」に相応しい選曲だったのか我ながら甚だ疑問ではありますが、これが90年代に渋谷系と言われる音楽を聴いた五十路の「今はこれが精一杯」の選曲なのでした(おそらく私が最年長だったと思います)。

 

オーガナイザーのあーるさん、Bar Doctor Headのやなぎはらさん、小沢健二の秘蔵映像を披露されたチビママさん、DJの皆さん、何より足を運んでくれたお客様の皆さん、ありがとうございました。またどこかでお逢いしましょう。

 



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トオルa.k.a.スケル 小西康陽を回す



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昨年11月16日のまほろ座でのライブ「小西康陽 小西康陽を歌う」を見て以来、改めて小西さんの楽曲の素晴らしさに気づき、以来ライブがある度にセットリストをSpotifyのプレイリストにし長距離通勤の共に繰り返し聴いていました。ところが熱心な小西さんファンの方なら当然おわかりの通り、小西さんの楽曲は配信されていないものが多く、プレイリストとしてはどうしても不完全なものになってしまいます。そうした不満が積もるところに昨年私が主催したイベント「ヘッド博士一日三昧」でDJをしてくださったあーるさんがBar DOCTOR HEADでの飛び入りDJを募集しているのを見かけ、「自分の妄想プレイリストを現実にできるかも」とひらめきました。「イベントではなくラウンジDJになるがそれでもいいでしょうか」と念押しされましたが、こちらとしては最近の小西さんのライブの演奏スタイルからすればむしろ好都合と強引にアピールした結果、あーるさんのご厚意に甘え9月7日 Bar DOCTOR HEADに「トオルa.k.a.スケル 小西康陽を回す」をテーマに小西さん楽曲しばりのDJを実現することがが叶いました。

 

前置きが長くなりましたが以下がプレイリストになります。ふだんDJをする時はその場の雰囲気で選曲するのですが、今回は練りに練り曲調・BPMではなく歌詞で紡ぐことを心がけたつもりです。

 

東京は夜の七時(インストゥルメンタル)/小西康陽とプレイボーイズ

(アルバム「井上純のプレイボーイ講座12章」)

19時半スタートでしたが1曲目はやはりこの曲。カバーも含め複数ver.が存在するピチカート・ファイヴの代表曲ですが今の小西さんの演奏スタイルに近いこちらにしました。ライブでは♪東京は夜の七時~と歌ったところで演奏を終えてしまう意地悪な小西さんです。


サマータイムサマータイムピチカート・ファイヴ

(アルバム「カップルズ」)

今回の選曲テーマは「私の夏、人生の夏」でもあったので迷わずこの曲を選びました。ピチカートの三人のヴォーカリストのなかで私がいちばん好きなのは初代 佐々木麻美子さんです。


有給休暇/松本伊代

(アルバム「プライベート・ファイル」)

熱心な小西さんファンの方なら次がこの曲なのは納得いただけると思います。ピチカート・ファイヴカップルズとほぼ同じアレンジのソフトロック歌謡です。ちなみに今年の夏は有給休暇どころか夏休みも取れませんでした。


私の人生、人生の夏/カヒミ・カリィ

(アルバム「GIRLY」)

夏の終わりが近づくと必ず聴きたくなる私の夏ソングNO.1です(ヘッド博士ファンジン編集人としてはあるまじき発言ですが)。小西さんいわく「老年の男性がパンイチで過ごす夏に似合う曲」らしいです。もちろん私はパンイチで夏は過ごしません。


戦争は終わった/ピチカート・ワン fea. YOU

(アルバム「わたくしの二十世紀」)

やや強引なつなぎでしたがやはりこの曲は外せませんでした。「戦争は終わった」というタイトルなのに「戦争はたぶんなくならないだろう」と歌う矛盾が今も世界中で続いています。


キス/岩本千春

(アルバム「かがみ」)

この曲から小西さんが描く「恋人たち」が選曲テーマです。小西さん得意の意地悪で小悪魔な女の子の歌でドイツのHCFDM DJ ル・ハモンドインフェルノが監修した渋谷系コンピレーション「sushi 3003」に収録された曲でもあります。


君には歌いたいことなんてないのに/矢舟テツロー

(アルバム「うた、ピアノ、ベース、ドラムス」)

現在の小西さんのライブに欠かせない歌うピアニスト、矢舟テツローさんによる「君に歌いことなんてない」と言いながらも「それでも伝えたいがある」と決意する男の揺らぐ恋心の歌。小西さんプロデュースによるニューアルバム「矢舟テツロー ベリッシマを歌う」が楽しみでたまりません。


日曜はダメよ/三浦理恵子

(シングル「日曜はダメよ」)

矢舟さんのジャズの後に三浦理恵子さんのテクノポップはDJ的にはアウトなつなぎですが、君に伝えたいことがあると意気込む男の子を忙しくて相手にする暇はないのよとかわしつつ土曜日なら少しだけと甘える女の子という対比がおもしろいかもと強引につなぎました。

 

衛星中継/ピチカートファイヴ

(アルバム「女王陛下のピチカート・ファイヴ」)

この曲は単に最近の小西さんのライブでのジャズアレンジが素晴らしく久しぶりに聴きたかっただけですが、テレビの衛星中継という言葉はいつの間にか死語になってたなぁと改めて気づきました。

 

生きる/和田アキ子

(シングル「帰り来ぬ青春readymademix2004」)

ここからは終盤なのでテンポをあげていきました。小西さんいわく和田アキ子さんは「いい歌詞だけどバラードだったら紅白で歌ったのに」とのことですが、シリアスな内容になりがちな「生きる」というテーマを明るいソウルに仕立てたのは小西さんの素晴らしいアイデアだと思います。後付けになりますがこの日にわざわざ駆けつけてきてくれ二十年ぶりに再会できた、かつて双子と周りから呼ばれた友人MJ君に捧げます。


かなしいうわさ/スクーターズ

(アルバム「女は何度も勝負する」)

今年2月10日に信藤三雄さんが亡くなって以来、この曲の歌詞が重く響くようになりました。これからの人生で私があと何回DJをできるかはわかりませんが、自分が回す時はフロアのお客様が一時だけでも日頃のしがらみを忘れられるような選曲を心がけたいと改めて感じます。


陽のあたる大通り/小西康陽

(シングル「陽の当たる河馬」)

つらつらと書いてきましたが今回DJをやりたかった本音を白状すると、小西さんのコットンクラブでのライブでこの7インチを手に入れたものの、家のレコードプレイヤーが壊れて聴けないままだったからです。ようやく聴くことができました。

 

改めて私のわがままをきいてくださったあーるさん、Bar DOCTOR HEADのやなぎはらさん、来てくださったお客様、そして付き添ってくれた妻に感謝します。できれば私よりレアな小西さん楽曲を持っている方や楽しく踊れる小西さんを回せる方々の協力を得て、今度はイベントとして「小西康陽を回す」ができればと早くも妄想しています。近いうちにお会いしましょう。

 

2023年9月8日 トオルa.k.a.スケル


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「小西康陽、小西康陽を歌う」アンコール公演 3月1日まほろ座


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白のタートルネックに三つボタンのグレイのスーツの小西康陽がステージに登場。「一曲目は写真撮影許可」と「東京は夜の七時」の演奏を始めたものの、♪東京は夜の七時~とサビのワンフレーズを歌っただけで終わり。最近のライブの定番曲「ゴンドラの歌」、吉岡忍の「あんなに愛しあったのに」、夏木マリの「動物園にて」と昨年11月のまほろ座のライブでもやった曲が続くが、「アンコール公演だから同じ曲をやるんですかと言われカチンときた笑」と言い、なんとピチカート・ファイヴの2枚目のシングルで初の作詞作曲作品の「アクション・ペインティング」。メドレーで「戦争は終わった」をやったのはロシアのウクライナへの軍事侵攻から一年経ったからか。ミズノマリの「結婚しようよ。」、ピチカートの「君みたいにきれいな女の子」、そして野宮真貴が三代目ヴォーカリストになって初のマキシシングル「最新型のピチカート・ファイヴ」の「ラブソング・ラブソング」。

 

弾き語りで夏木マリ「むかし私が愛した人」、スパイダーズの「いつまでもどこまでも」(3月1日はムッシュかまやつの命日で今年は七回忌)、矢舟テツローの「きみには歌いたいことなんてない」を歌い、一度ステージを去ると続けて矢舟テツロー・トリオが「きみには歌いたいことなんてない」。「今日は小西康陽小西康陽を歌うなので」と田島貴男がヴォーカル時代のピチカートの「日曜日の印象」。

 

三つボタンのスーツにワイシャツ・首にバンダナを巻いた小西康陽がステージに再び現れ「後半はノリノリで」と観客に手拍子を求め髪を振り乱すほどはしゃぎながら観月ありさの「パリの恋人/トーキョーの恋人」、「練習でうまくいったためしがない」と言いながらも見事なジャズ・アレンジでキメたピチカートの「衛星中継」、高浪敬太郎ヴォーカル曲の「憂鬱天国」からメドレーで「アロハ・オエ・ブルース」とピチカート・マニア泣かせの選曲で盛り上げ、前回のライブでも好評だった「陽の当たる大通り」、「グッバイ・ベイビイ&エイメン」で本編は終了。

 

アンコールの一曲目はやはり信藤三雄がリーダーだったスクーターズの「かなしいうわさ」。曲の終わりの方で観客に「できたら黙祷してください」。カヒミ・カリィの「私の人生、人生の夏」の後、ピアノの弾き語りで「サンキュー」「マジック・カーペット・ライド」をショートver.でメドレーで歌い、ライブを終えた。

 

一曲ごとにエピソードを披露する形式で前回以上に喋ったので2時間半。オフレコ的な秘話も多くそれにいちいち「俺知ってる」的な笑いで反応する業界人が正直不快だったのでここでは細かく触れたくない。ただ、「何を見ても聞いても信藤さんのことを思い出してしまう」「僕は信藤さんに恋をしていたのかもしれない」とハンカチで涙を拭う姿を見て、当たり前だが私のような単なるファンでは図りし得ない哀しみが今もなお続いているのだろうということだけは記しておく。


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2022年の個人的な記憶の記録


2022年が終わる。コロナ禍も3年目になったもののマスク生活とワクチン接種に頼るのは今年も変わらなかったが、夫婦ともに感染せず一年無事に過ごせた。

 

個人的にはコロナ禍より2月24日に起き今も続くロシアのウクライナ侵攻に一年心を動かされ続けた。1990年に起きた湾岸戦争はハイテク戦争とも言われ、「これからの戦争は子どもの頃に読んだ漫画のように無人戦闘機やロボットが戦うもので死傷者ゼロの戦場もあり得るのかも」などとテレビのブラウン管越しに考えていた。それに比べ地理的条件が違うとはいえ「プーチンの戦争」はお粗末なほどにローテクであり、何より一国の大統領の独り善がりな歴史観に基づくものであることが衝撃的だった。

 

ツイッターで知り4月30日に見に行った児玉浩宜さんの写真展「ウクライナの肖像」以来、彼のツイッターやインスタに「いいね」を押し、ウクライナでの撮影をまとめた「ウクライナ日記」も写真集「Notes in Ukraine」も買ったが、結局のところ自分にできるのは買い物でたまったポンタのポイントを毎月寄付するぐらいしかなかった。ただ寄付は戦争が終わったとしても当分の間は続けようと思う。支援において最も大切でありかつ難しいのは継続することだから。

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自分個人の印象的な出来事としては、昨年自主制作したファンジン『FOREVER DOCTOR HEAD'S WORLD TOWER』の発行記念トークショー&DJイベント『一日ヘッド博士三昧』を一年越しで開催できたことだった。特にトークショーツイッターのスペースを初めて使ったが参加者が397人、リスニング/リプレイの累計が2326人と予想以上の結果で驚いた。編集者時代になぜか講演もやったことがあるが50人程度だったので、SNSによる音声のみとはいえ正直あんなのでリスナーの方々に満足してもらえたのかと反省している部分はある。


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 https://note.com/doctorhed1991/n/ndfbe5cec3a98

 

ライブは、30年以上前にライブアルバム『JOY』を聴いて以来、一生に一度は観ておかないと思い続けていた山下達郎ソニックマニアでの予想以上に早かったコーネリアスの復帰ライブとプライマル・スクリームのスクリーマデリカ30周年ライブ、改めてこの人が書く曲は一生好きだろうと感じた「小西康陽小西康陽を歌う」は思い出深かった。


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何より今年は我が家の結婚10周年だった。特別なことはできずいつもの店でディナーを食べただけではあったが、一年を振り替えって「今年も相変わらずだった」と思えることこそが尊いと歳を重ねるごとに思うようになった。


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「どんな状況でも素直に楽しむんだ。俺たちのノーマルを続けるんだよ」

(オデーサのDJパーティで会ったパブロの言葉『Notes in Ukraine』児玉浩宜)


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#2022年ベストアルバム


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Dragon New Warm Mountain I Believe In You/Big Thief

物語のように/坂本慎太郎

Warm Chris/Aldous Harding

I Don't Know Who Needs To Here This/Tomberlin

Weather Alive/Beth Orton

New Age Attitudes/Amanda Sum

Kanata/Justin Orok

Alone Together/Johanna Linnea Jakobsson

Winter Spring/Allison Wheeler

Still Life/Sachal Vasandani, Romain Collin

Nada Tropical/Glue Trip

Passaros/Gustavo Infante

Estela Acesa/Sessa

De Todas Las Flores /Natalia Lafourcade

はじまりのとき/アン・サリー

夜の庭/畠山美由紀、藤本一馬

Cosmic Suite2ーNew Beginningー/井出靖

Quiet Music Under The Moonー月のおと/calm

DOKI DOKI/サニーデイ・サービス

I  LOVE FISH/Pine Barons

 

 

すでに多くの人が指摘している通りコロナ禍から2年が経ち、パンデミックのなか音楽(を含めてすべてのカルチャー)の意義が問われたことを経験し、ミュージシャン達が改めて個々の音楽に向き合ったためか、今年は例年になく豊作の年だった。毎年ベストアルバムは10枚を選んでいたが今年は絞りきれずベスト20にした(それでもかなり悩んだが)。

 

同率1位がBig Thiefと坂本慎太郎。Big Thiefは2枚組1時間20分の大作であることが話題にもなったが、一時間半の長距離通勤をしている私にはちょうど良かった。もちろん長さだけでなく4ヵ所のスタジオで4人のエンジニアによって録音された音は、まさにパンデミックを経た結束感のあるバンド・サウンドだった。坂本慎太郎もいい意味で場末のキャバレーの箱バンドのようなどこか虚しさのある音で、「そろそろコロナ禍も飽きたし陽気に行こうぜ!」とはならないのが坂本慎太郎らしいと思った。

 

他の18枚のアルバムは同率2位で大まかに分けてシンガーソングライター5枚、ジャズ・ヴォーカル3枚、南米4枚、邦楽6枚。

 

シンガーソングライターは、相変わらず聴きやすいのにどこかクセのあるAldous Harding、祈りを捧げるように静謐なTomberlin、幽玄な響きのなかにリズムの力強さもあったBeth Ortonn、フォークサウンドを基調にしつつソウルやジャズを適度に取り入れたAmanda Sum、King Of Convenienceのように優しいアコースティックなJustin Orok。

 

ジャズ・ヴォーカルはThe BeatlesのShe's Leaving Homeのカヴァーをはじめ美声を聴かせてくれたJohanna Linnea Jakobsson、バックバンドの躍動感あるサウンドも良かったAllison Wheeler、Romain Collinのピアノをバックにしっとり歌うSachal Vasandani(彼のカヴァーで初めてBillie Eilishをちゃんと聴いた)。

 

南米はブラジルのバンドとカテゴライズするのは難しいほど多様なメロディとリズムのGlue Trip、ギターだけで静謐という言葉では足りない豊かな響きを奏でたGustavo Infante、スピリチュアルかつメロウなSessa、相変わらずチャーミングでありながらサウダージ(郷愁)感あるヴォーカルのNatalia Lafourcade。

 

邦楽は20~30代の頃から聴き続けてるミュージシャンばかりだがどれもデビュー作のような新鮮さを感じた。アルバム・タイトル通り新たな「はじまり」を感じたアン・サリー、器楽的な演奏を取り入れた畠山美由紀と藤本一馬、多彩なゲストを迎え衰えないクラブ・ミュージックを指揮した井出靖、初めてのノン・ビートのアルバムで改めてメロディの美しさがより際立ったcalm、聴いてて本当に"DOKI DOKI"し歌い出したくなるサニーデイ・サービスアメリカのインディーバンドだがフィシュマンズの英語歌詞カヴァーアルバムで驚かせてくれたPine Barons。

 

来年以降、この豊作が続くかどうかは今の段階ではもちろんわからないが今のところは今年愛聴したアルバムを繰り返し聴きたい。すでに半世紀以上生きた私だが「過去でも未来でもなく今に生きる私の弱き心をそのままに」(絵はがきのマリア/木下ときわ)。


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COCOA通知顛末記

●1月19日

○7時45分
目覚ましで起きるとスマホCOCOAから「陽性者との接触確認1件」の通知。アンインストールしていたと思っていたので通知があったこと自体に驚く。日にちを確認すると1月14日(金)。出社日で寄ったのは会社の最寄駅のコンビニだけ。夕飯は妻がカレーを作ってくれていたので帰りはどこも寄っていない。この日は会議で今年初めて本社の上司と会ったことを思い出す。

 

○8時17分
起きていた妻にCOCOAの通知があったと言うと妻は通知がないどころかアプリを入れていないとのこと。ツイッターを検索すると通知があったというツイートがかなりあり「どこも寄っていないので通勤中ぐらいしか思いつかない」というツイートも目立つ。とりあえず会社に通知があったことをメールし指示を待つ。

 

○8時30分
検温をするのを忘れていた。平熱の36.5度で会社に結果をメールする。

 

○10時15分
会社からメールの返信がないので電話する。本社の上司に確認中とのこと。

 

○10時53分
会社から返信。COCOAのスクショが添付され「専門機関に相談し指示を仰ぎ結果を報告してくれ」とのこと。

 

○11時
「症状がない場合はいつも通りにしてもかまわない」とCOCOAにあったのでいきなり病院に電話するより先ずはと思い東京都発熱相談センターCOCOA専用ダイヤルに電話したがつながらない。世田谷区の「新型コロナウィルスの検査について」の世田谷保健所感染症対策課に電話をかけるとつながり「念のため検査を受けたいのなら近所の病院に相談したら」とのこと。検査をやっている近所のクリニックに電話すると「症状がある人が優先なので熱がないなら検査は受け付けていない」とかなり苛立った感じの返答。

 

○11時半
会社に結果をメールし電話もする。本社の上司に報告するとのこと。今から出社しても遠距離通勤の会社に着くのは遅いので有給休暇をとる。

 

○18時
会社から本社の上司の確認がとれその後も発熱がなかったら1月21日(金)から出社してよいとのメールがある。

 

ニュース速報では東京の感染者は7377人の過去最多。オミクロン株は感染しても重症にはならないと言われているがCOCOA接触通知で一日モヤモヤすることになるとは…。またしばらくはコロナ禍に振り回されそうだ。やれやれ。